私の~興味津々~マレット作り

私が始めてマレットの製作に興味を抱いたのは、高校3年生の夏だったと思います。

その頃、私の母校である東京都立永山高校吹奏楽部は、吹奏楽コンクールの出場を目指して、 課題曲である「斜影の遺跡」の練習も佳境に入り、私も受け持ちパートのTom-tomを演奏するバチの選択について、 打楽器パートの講師として来て頂いていた先生に相談をしていました。

ちなみに、このとき打楽器の先生として来て頂いていたのが、フォニックス・レフレクシオンのメンバーでもある大高達士さんでした。

その時、大高さんが選んだのが「スティック」ではなく「マレット」、それもティンパニのそれではなく、 木琴やマリンバに使うような籐の柄(正確にいうと、このときのマレットは某有名メーカーのプラスティック製の柄のものでした) に毛糸を巻いたタイプのマレットだったことにも驚きましたが、私は、その時学校の備品として用意されていたマレットのボロボロで哀れな姿の方が気になってなりませんでした。

改造サトー マレット

長年、使い続けて籐の柄がボロボロになってしまい、木製の柄に付け替えたSatoのmedium-C。

毛糸の巻き方は、オリジナルのサトーマレットを踏襲しているので、柄を木製に替えての操作感の違い以外は、硬さなどの変更はなし。 一番手前の一本は、使っていて折れてしまいました。

こんなときには、顧問の先生に頼んで新しいマレットを買ってもらおうか?自分のお小遣いで買おうか? または、見て見ぬふりをしようか?と思い悩むのが普通の女子高校生なのでしょうが、 なぜか私は「自分で巻き直してこのマレットを使ってみたい!」と思い、 どちらかというと軽い気持ちで「マレット巻き」を始めたことを思い出します。

そんな、ちょっとした思いつきのように始めたマレットの修理だったこともあり、 そういったことを教えてもらえるような人が身近にいる訳でもなかった為、 結局、ただ形を合わせて巻いていただけのもので、 恐らく左右で硬さが違っているものになっていたかもしれません。(笑)

その後、私は国立音楽大学打楽器専攻に入学することになり、 国立音大では各専攻楽器別に「研究室」というものに所属することになるのですが、 打楽器専攻であれば「打楽器研究室」で、当然ながら打楽器の「演奏」の「研究」をするべきところ、 私は、「マレット製作」の「研究」を始めていました。

先ずは、自分の高校生の頃から持っていたマレットの巻き直しから始めたのですが、 相変わらず、誰に教えてもらう訳でもなく、自分の工夫だけでマレットの巻き直しをしていた、 そんなある日、マレット巻きの技術を持った研究室のOBの方からマレット巻きを教えて貰える機会に恵まれ、 興味津々、その技を伝授してもらいました。(さすが「打楽器研究室」!。 私以前から演奏以外の研究をしていた人がいたようです。)

教えて頂きながら、何回も巻いてはやり直しを繰り返し、 やっと一本のマレットを巻き終わるのに1時間以上の時間が掛かってしまい、 二本目を巻き終わったときには一本目と形が違っていることに気付き、改めてその難しさを痛感したことを思い出します。

打楽器のマレットというと主にティンパニなどに使うフェルトを巻いたものと木琴やマリンバなどの毛糸や綿糸を巻いたものがありますが、 ティンパニマレットの様なものは、予め同じ厚みに裂いておいたフェルトを糸で絞って巻き付けるのに対し、 マリンバなどの糸を巻いて作るマレットは糸を巻く回数を数えながら最終的に同じ大きさのものを作っていく作業になります。

改造ヤマハNo.5030

ヤマハのNo.5030をバスマリンバ用マレットに改造。

糸を毛糸にして、ややソフトに。

アンサンブルの中での4本バチでのベースパート演奏用に、柔らかい響きながら音の粒が出るような音色にしました。

ところが、同じ回数といっても巻いていくときの糸を載せる位置や糸の引っ張り具合が変わってしまうと硬さも形も違うものになってしまい、 これが一定に同じ状態に出来るようになるのが、先ずは第一段階です。

そうこうしているうちにも徐々に上達していき、日増しにマレットを巻く楽しさや嬉しさが増していくと同時に次々とマレットを巻いてみたくなり、 巻き直すマレットを探すのですが、当時、学生の身である私はそう多くのマレットを持っている訳でもなく、 マレット巻きをしたいという衝動だけが空回りしていく中、私はある名案を思い付きました。

昔、ボロボロのマレットを見て巻き直そうと考えたことがあったではないですか!。

そう、母校の高校の備品のマレットを巻き直してみましょう!