私の~興味津々~マレット作り

早速、私は母校の永山高校に出向き、修理が必要なボロボロになっているマレットを全て自宅に持ち帰り、時間も忘れて一心不乱に夜中までマレットを巻き続けました。

改造マレット ヤマハNo.5030 モヘア

ヤマハのNo.5030の籐の柄を木製の柄に付け替えてモヘア巻きに。

スティーブンス・グリップでの演奏用に、籐の柄では柔らかくてぶれてしまいコントロールしにくい為、木製の柄にする。

柄の長さも430mmと長くした。

毛糸をモヘアに巻き直して、響きを柔らかくして伸びのある音になってます。

そんな私の姿を見てか、同じ打楽器研究室の仲間からもマレットの巻き直しを頼まれるようになり、始めた当初は自分のマレットを巻き直すのが目的で思いも依らなかったことでしたが、他の人のマレットの巻き直しを受けるようにもなっていました。

そんな、様々な方々の助けも借り、高校のマレットもきれいに巻き直され、仲間の持っているマレットに私が巻き換えたものが増えていくうちに、その技術が教えてもらった技術から自分自身の技術へと変わっていくことを感じていきました。

そして私のマレット巻きも新しい段階へ上っていくこととなります。それは単にくたびれてしまったマレットを元の状態に巻き直すだけでなく、別のマレットに作り直す「改造」を試みるようになっていきました。

打楽器を勉強している人には多かれ少なかれ思い当たるところがあるのではと思いますが、色々な種類のマレットを揃えていく中で、買っては見たもののやっぱり気に入らずお蔵入りになっているマレットというものがあるものです。

どんな巻き方をするとどんな風に音が変わっていくか見当が付くようになってきた私は、気にいらないマレットを自分の気にいるような音にする為にマレットを巻き直していくようになっていきました。大学2年生の頃だったと思います。

改造マレット ヤマハNo.6040 バスマリンバ

ヤマハのNo.6040をバスマリンバ用マレットに。

「She Who Sleeps with a Small Blanket」(ケヴォン・ヴォランズ)の演奏用に作製。

ヘッドを重く、大きくして、柄の端を持ってヘッドの重さを音板に乗せる様な弾き方をする為に柄を短く切った。

茶色の毛糸の方は、ブルーの毛糸のものに比べて、よりソフトにしてあります。

そんな私の「改造」はエスカレートして行き、今買ったばかりのマレットを楽器店の担当の方の目の前で糸をほどき巻き換えるという、そのマレットを作ったメーカーにはちょっと酷いことまでするようになり、楽器店の方にも失礼なことだったのですが、そのお陰で楽器店からもマレットの修理を頼まれるようになりました。

そしてその頃に私は、運命とも呼べるマレットに出会います。

楽器店にマレットを買いにいったときに見つけたのですが、それは奇麗な「筒」に入っていて、柄が籐ではなくて「木」。その上、頭には白いふわふわした「モヘア」の毛糸が巻いてありました。今でこそ通称「Birch」と呼ばれる木の柄のマレットが増えてきていますが、当時はマリンバ用のマレットというと籐の柄のものが主流でした。そしてそのマレットの音色はとても素晴らしく、それからの私といえば、モヘアの毛糸を買い込み、日々、研究の毎日でした。

この種のマレットの特徴は、毛糸がモヘアであることが最も大きく影響していると思われますが、スナップを効かせて叩けばクリアな音が出て、優しく弾けば豊かに響く柔らかい音を奏でます。モヘアという毛糸はとても魅力的でした。編み物に無縁の私にも。(笑)

そんな、演奏の勉強よりマレットを巻いていた時間の方が長かったかもしれない私の大学生活も無事、卒業。

その後もホームセンターなどに出かけていっては様々な素材を見つけて、「新しい」「オリジナルな」マレットを作ろうと工夫を凝らしています。

私は日々、演奏者達は今どんな音が出したいのか?求めているのか?を考えマレットを作っています。

その実感から私は、マレットはもっと多くの種類が必要で、より選択の幅を広げ、演奏家が自分の理想の音を見つけられる可能性を広げる余地が、まだまだ多く残されていると感じています。

【平 浩子】